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2022.12.01
【外構計画】外構のお悩み相談室(その5)
【お悩み】
「新築住宅の計画を住宅メーカーと進めています。
外構工事のために先に考慮しておく事はありますか?」
住宅メーカーは【住宅工事の専門家】ではありますが、【外構工事の専門家】
ではありません。
いざ、外構工事の計画を始めようとすると
「この場所にこんなものが!」
「この高低差だと水勾配がとれない!」
など問題が生じてくる事はめずらしくありません。
住宅メーカーは外構工事の事まで考慮して計画はしてくれません。
ただ、早い段階でお客様からお話をしておけば計画の修正は対応してくれる
はずです。
【外構工事の専門家】の視点から外構工事を考慮した住宅工事の計画
ポイントをご紹介します。
①道路と敷地の高低差
住宅は平らな敷地があれば計画可能ですが、外構工事は床の水勾配をとる
ために道路と敷地の高低差は大事なポイントになります。
【水勾配】とは、雨水などを排水するためにとる傾斜の事です。
この傾斜がとれないと敷地内に水がたまり、コケやカビが発生する原因になります。
一般的に床舗装で2%~3%の水勾配が必要になります。
例えば、
【水勾配2%の場合】
・道路から3mにつき6cm敷地が高い。
・道路と建物の距離が6mの場合、道路より建物がある敷地が12cm高い。
【水勾配3%の場合】
・道路から3mにつき9cm敷地が高い。
・道路と建物の距離が6mの場合、道路より建物がある敷地が18cm高い。
という事になります。
道路と敷地高さがほぼ同じ、道路より敷地が低い場合など
水勾配が通常パターンでとれない場合でも外構計画でカバー
出来る面はありますが、デザイン要素など制限されてしまう
場合があります。
②排水桝(マス)の位置
【排水桝】とは、住宅から出る排水詰まりを予防するためのメンテナンス
や実際に詰まった時に対処するための桝の事です。
建物周りにある大小のサイズの桝の配置計画が建物図面でも表記されて
いる場合が多いです。
外構計画で関わってくる場所にこの排水桝があると考慮する内容が出てきます。
【考慮する内容】
〔桝の高さは敷地レベル(GL)に合わせる。〕
桝の高さが敷地レベルより低い場合は桝天端を上げる、
高い場合は切って桝天端を下げる工事が必要になります。
最初の段階で桝天端が敷地レベルで設定されていれば
調整が最小限で済む場合が多いです。
〔車庫スペースの桝蓋は耐荷重タイプにする。〕
車庫スペースに桝がある場合は蓋が耐荷重タイプでないと車
を乗り入れた際に破損する可能性があります。
車が乗り入れする可能性がある場所の桝蓋は耐荷重タイプに
変更する事をおすすめします。
〔玄関ポーチ前に桝の設置は避ける。〕
玄関ポーチ前は外構でアプローチを計画するスペースになります。
見栄えもよくありませんが、使用する床材料の加工が必要になり
経費も余計にかかる場合があります。
③外構スペースの確保
建物を敷地内のどの位置に計画するかは、外構計画にも大きく
関わります。
「車庫スペースの奥行が狭い。」、
「使用しないスペースを広くとりすぎて舗装が大変。」
など、問題が発生する可能性が高まるからです。
車庫やアプローチなど必要なスペースが確実に確保出来るように
シュミレーションする事は大切です。
④外電源の位置
外溝工事でインターホンを門塀に設置する、照明を設置するなど
外電源を使用する計画がある場合は位置が重要になります。
外電源を付けたはいいが、照明など設置する場所と離れすぎて
いて工事費用が余計にかかる事はよくあります。
電気工事には電気配線とそれを保護する配管工事が含まれます。
距離があればあるほど、電気配線・配管工事の費用がかかるからです。
車庫やアプローチの計画位置に近い外壁に外電源を確保しておいて
ください。
住宅計画は時間がかかりますが、同様に外構計画も時間がかかります。
外構工事を住宅工事の「おまけ」のように考えて計画を進めると
後悔する原因になります。
毎日使う場所という点では外構も大切な要素です。